特殊ミルクの安定供給のあり方についての円卓意見交換会

2016年11月8日
「特殊ミルクの安定供給のあり方についての円卓意見交換会
場所: 参議院議員会館 議員歳3会議室にて
参加者:川田龍平 参議院議員
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    日本小児連絡協議会治療用ミルク安定供給委員会の先生方4名
    患者団体5団体
    乳業メーカー3社(株式会社明治、森永乳業株式会社、雪印メグミルク株式会社)
    厚生労働省(雇用均等・児童家庭局 母子保健課、医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課、医薬・生活衛生局 難病対策課、健康局 がん・疾病対策課)
11月8日 12時30分より、川田龍平 参議院議員主催のもと、治療用特殊ミルクに関わる上記参加者が一堂に集い、治療用特殊ミルクの永続的な安定供給に向けての意見交換会が開催され当会からは2名の役員が参加しました。
冒頭、川田議員からは、本意見交換会で特殊ミルクの問題を共有し、今後の体制づくりに向けての足掛かりとしたいとの挨拶があり、その後治療用ミルク安定供給委員長の大浦先生(仙台市立病院)から治療用特殊ミルクの概要と、現在抱える問題点について資料を使っての説明がありました。
治療用特殊ミルクとは:
先天代謝異常症やアレルギー患者等に用いられる、栄養成分を調整した粉ミルク。
市販品、医薬品、登録特殊ミルク、登録外特殊ミルクと4つに分類されている。そのうち、登録特殊ミルク、登録外特殊ミルクは、医師の処方のもと患者には無償提供されている。
登録特殊ミルクの費用は公費助成半分と乳業メーカー負担半分。登録外特殊ミルクの費用は乳業メーカーのみが負担。
問題点:
公費助成がある登録ミルクには、適応疾患・適応条件などの壁があり、近年では適応疾患外の患者や、適応条件外(成人患者)の特殊ミルクの需要が増え、費用負担は乳業メーカー側に重くのしかかっている。
課題:
対象疾患・適応条件の見直し・拡大。
治療用特殊ミルクの新たな仕組みの構築。(欧米のようなメディカルフードとしての位置付け)
その後、各患者会から各々の疾患ごとの特殊ミルクの必要性・要望等が発表され、現在適応外となっている疾患でありながら、治療上特殊ミルクが必要な疾患(難治性てんかん・小児慢性腎臓病)について各専門医から発表がありました。
これらの発表、要望を受け、厚生労働省の各部門課長補佐の方々から現状についての説明があり、乳業メーカーからは現状、会社としての取り組み、今後の要望等についてもお話がありました。
その後の意見交換では、費用負担をどこに置くかという課題について、特殊ミルクを医薬品として保険適用とできないか?との議論がされましたが、現在の薬事法の厳しさと食品品質での製造という現状からすると、乳業メーカーから薬事申請をするのは難しいとの結論にとどまりました。登録品目の適応拡大をして公費助成を増やし、メーカー負担を軽減するという案については、現状では予算の確保が難しいとのこと。治療用でありながら食品であるという特殊な位置付けを維持しつつ、どのように国からの助成を受けるか(予算をとるか)、最後まで具体的な解決策は見つかりませんでした。しかし、安定供給に向けて何らかの改善策が必要との共通認識を持つことができ、今後の発展を期待できる会となりました。
現在、登録・登録外特殊ミルクは患者には無償で提供されており、病院で処方されれば不足なく供給されているため、安定供給、特に費用負担についての問題はあまり切羽詰まったものではないように感じがちですが、安定供給されなくなった時、真っ先に一番困るのは私たち当事者です。今後も、問題解決に向けて当事者の力が活かせるよう発信していかなければならないと感じました。
 
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